限定の転職 支援
労働者にも正社員として雇用してくれる会社を探すか、期間雇用者に甘んじるかという選択権があることは事実ですが、同一労働を提供していながら雇用不安があり、しかも労働条件も低いというのは、やはり問題がないとはいえないはずです。
ところで、期間雇用契約において更新拒絶をした場合、解雇権濫用の法理を類推適用するかどうか、また類推適用されるとして更新拒絶に正当な理由があるかどうかは、裁判所の判断にかかっています。
裁判所であっても、契約の自由という法理に拘束されるため、契約の内容、すなわち労働者の処遇については制約を受けますが、解一展権濫用の法理を類推適用するかどうかなどについては、自由裁量です。
となれば、同一労働を提供しながら雇用不安がある、加えて賃金も低いという期間雇用契約については、労働者を保護する意味でその更新拒絶について厳しい立場をとることは、容易に推認できるところです。
したがって、この面からも期間雇用契約について、契約の内容を合理的に設定すべきといえます。
期間雇用契約は、期間が満了すれば契約も消滅するのが原則です。
これは何度も説明してきたとおりです。
そして判例は、期間雇用契約が更新され、労働者が継続雇用を期待するような状況が客観的にみられるような場合、その更新拒絶に対して、解雇権濫用の法理を類推適用して労働者の保護を図ってきました。
したがって、期間雇用契約の更新拒絶に解雇権濫用の法理が類推適用されるためには、期間雇用契約の更新が絶対的要件であると考えられてきました。
そのため、最初の期間雇用契約については、更新拒絶してもそれは契約の当然消滅として取り扱われてきました。
例外的に更新拒絶が問題にされたのは、それが労働基準法第三条の均等待遇に違反しないか、あるいは労働組合法第七条の組合員差別に該当し、不当労働行為にならないかという場合だけであり、このような実定法の規定に違反しないかぎり、最初の期間雇用契約の更新拒絶は自由だとされてきました。
しかし、解雇権濫用の法理が類推適用されるかどうかは、期間一厘用契約の期間更新がなされたという事実があるかないかで決定されるわけではありません。
前述したとおり、契約更新の回数も含めて、当該雇用の臨時性・常用性、雇用の通算期間、契約更新手続きなどの管理の状況、当該雇用における雇用の継続の期待をもたせる言動・制度などを総合的に勘案して決定します。
これは、期間雇用者が有している雇用継続の期待の強度、そしてその期待が社会的・合理的なもので、法的に保護する価値があるかどうかで判断しているといえます。
このように考えますと、解雇権濫用の法理が類推適用されるためには、契約更新の事実は非常に重要な要素にはなりますが、絶対的な要件ではないといえます。
結局は、当該期間雇用契約に解雇権濫用の法理を類推適用することが妥当であるかどうかの観点から考えればよいということになります。
このような観点から、タクシー会社の事案で裁判例は、継続雇用を期待して入社した期間雇用者に対する当初の期間契約の更新拒絶に関し、信義則に照らし許されないとして更新拒絶を否定し、継続雇用を認めています。
この判決は、期間雇用者が一厘用の継続を期待することに合理性があると判断したことによると考えられます。
このような裁判例から考えますと、期間雇用者を集めるために継続雇用を期待させる言動を行うと、その言動を理由に解雇権濫用の法理が類推適用される可能性があるということになります。
したがって、需要と供給の問題があるとしても、使用者は期間雇用契約の趣旨を十分理解して対応すべきです。
期間雇用契約が更新されたからといって、必ずしも解雇権濫用の法理が類推適用されるわけではありません。
しかし、当該期間雇用契約に解雇権濫用の法理が類推適用されるかどうか、また類推されるとして更新拒絶に正当な理由があるかどうかは、最終的には裁判所の判断を受けるしかなく、実務家にとっては非常に難しい問題であるといえます。
結局、期間雇用契約について更新を重ねると、その後の更新拒絶には、つねに拒絶の正当性についてリスクをともなうということになるといえます。
そこで、そのリスクを避けるため、更新の際に「今回の更新が最後」という合意をしている事例が承られます。
この合意の効力は、原則として期間満了による契約終了の再合意がなされたものとして、その合意が真意であるかぎり有効だといえます。
しかし、この「今回かぎりの特約」をつねに更新の際につけているような場合には、期間満了で契約が終了するとの真の合意があるとはいえず、その合意の効力は否定されます。
また、トラブルを避けるために、形式上このような特約を設けるというような説明で労働者の同意をとっていても、当然ながらその効力は認められません。
期間雇用契約の更新拒絶には、つねに解雇権濫用の法理の類推適用の可能性があり、また更新の際の今回かぎりの特約については、その同意が労働者から得られるかどうかわかりません。
そこで、一定期間雇用後は、必ず雇用契約を終了させることができるように、「更新回数の制限」を当初の期間雇用契約の締結の際に合意しておくという方法がとられる場合があります。
つまり、「一年の期間雇用、三回の更新制限」という期間雇用契約のようなものです。
この更新回数の制限の特約が有効か無効かは、非常に難しい問題があるといえます。
とくに、平成一○年四月一日から六○歳定年制が法定義務化された現状では、期間雇用契約に更新回数の制限を設けることは、事実上、若年定年制の機能を営むことになります。
今日、若年定年制の制度が特別の事情がないかぎり違法であることは明らかですし、例外的な特別の事情が認められることもほとんどないと思います。
また、この期間雇用契約の更新回数の制限が女性労働者にだけ行われると、女性差別として男女雇用機会均等法に違反します。
このように考えると、正社員とほぼ同一の労働時間、同一の労務内容を提供する期間雇用者に更新回数の制限を設けることは違法であると考えておいたほうがよいと思いますが、少し事案を区別して考えて承ることにします。
まず、解雇権濫用の法理の類推適用を避ける目的、または女性労働者の早期退職を実現する目剛的で締結される更新回数の制限は、違法だといえます。
次に、三年間の臨時業務やプロジェクトのような業務に従事する労働者を必要とする場合を考えてふます。
この場合は、労働基準法第一四条の「契約期間は一年」という原則的制約があるため、期間契約を締結したうえで更新せざるを得ません。
このような事情があるときは、更新回数の制限は適法だと考えます。
とくに、プロジェクトのような業務については、一定の要件のもと労働基準法第一四条の契約期間の制限を三年間とすることが認められた背景を考えると、このように結論づけられると思います。
また、専門的な業務に従事する労働者を、三年に限定して一厘用するために、その間は正社員より高い賃金を支払うというような場合(実務では契約社員という名のもとに導入が進められています)は、更新回数の制限も適法だと考えます。
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